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第10回「2023 NCAP & Car Safety Forum in Tokyo」が多くのゲストを招いて、2日間開催された。

第10回「2023 NCAP & Car Safety Forum in Tokyo」が、4月13日NCAP-day 、14日Towards the Automated-dayとして開催された。

ゲストはBASt/Euro NCAPのアンドレ・ジーク氏、IIHSのデビッド・ハーキー氏、OnlineでCATARC/C-NCAPグループからリュウ・レイ氏とチャン・スイ氏、CATARC/C-ICAPグループからはリー・タオ氏とアイリス・チャオ氏が参加、ビデオでLatin NCAP/Global NCAPのアレハンドロ・フラス氏とUNECEのフランソワーズ・ギシャール氏が参加した。

会場がアルカディア市ヶ谷となった第10回「2023 NCAP & Car Safety Forum in Tokyo」は、横浜で開催された第27回ESVでは話さない、話せない自動車安全の現状と未来をじっくりと深く、解説し、話し合い、疑問に答えたものとなった。
ESVでは多くの最新の自動車安全技術のプレゼンテーションを聞くことはできるが、世界の自動車安全のProtocolのUpdate状況や2030年に向けたRoadmapを聞けるのはこの「2023 NCAP & Car Safety Forum in Tokyo」だけだろう。

【4月13日(木) NCAP-dayのNCAPプレゼンテーション】

Next Steps in Crashworthiness: better protection for all occupantsIIHS / デビッド・ハーキー

自動車事故による死亡者数は、死亡者数が低かった2014年と2022年を比較すると2022年は31%増加している。
衝突安全性の次のステップではすべての乗員をより良く保護するために、側面と中程度のオーバーラップ衝突試験がUpdateされ、衝突安全性試験の将来についてのRoadmapが議論された。
その中でシートベルトリマインダー(SBR)やヘッドレストとむち打ち研究については研究動画を視聴しながら説明があった。

Changes in the Euro NCAP Assessment from 2023 to 2025BASt/Euro NCAP / アンドレ・ジーク

2023-2025年のEuro NCAPの要求事項に関するUpdateに関して、AOPにおいてはRescue, Extrication & Safetyでの救助が必要な際の多言語化、危険検出、携帯電話のペアリング機能など様々な要求事項4ポイントが追加になる。COPに関してはVehicle Based AssessmentにChild Presence Detection (CPD)が追加になる。
VRUに関してはLeg formやAEB Pedestrian Turning、AEB Bicyclist Dooring、AEB/FCW Motorcyclist、AEB Motorcyclist (CMFtap)、AEB Motorcyclist (CMoncomming)、が新規でポイント加算される。
Safety Assist(SA)に関してはSeat Belt Reminder(SBR) 、Driver State Monitoring(DSM)のポイントが加算される。プレゼンテーションの中でDSMの定義をOwl(フクロウ)type movement、Lizard(トカゲ)type movementとし説明された。

Euro NCAP RoadMap 2030BASt/Euro NCAP / アンドレ・ジーク

Euro NCAPロードマップ2023の最新情報について
新しい安全評価システムは4つのフェーズに基づき(Safe Driving、Crash Avoidance、Crash Protection、Post Crash Safety)、2026年以降の評価システムは“Haddon” Matrixに基づいて行うと説明された。
商用車の安全性も含めて2030年Euro NCAPのRoadmapは技術革新と現実世界に基づいた新しい評価方法を取り入れて次の段階へ移行していくと話された。

GLOBAL NCAP and Latin NCAP updatesLatin NCAP/Global NCAP / アレハンドロ・フラス

まずLatin NCAPの最新テスト結果と2023-2025 Updateの発表があり、次に2025年以降のプロトコルの可能性の説明があった。
それによると

  • AOPは最大40ポイント
    Whiplash(3p front / 1p rear)、Post Crash(-5p to +1p) - might move to SA、Rear Crash(-1p)、Roof Crush Resistance - SAE
  • COP最大49ポイント
    Dynamic testing: (ODB 16p、MDB 8p)、CRS installation: (12p)、Vehicle Based Assessment:(13p)
  • VRU protection最大48ポイント
    Pedestrian passive(36p)、AEB VRU(12p)
  • SA(safety Assist) 最大43ポイント
    ESC(15p)、SBR(6p front / 4p rear)、Speed Assist(3p)、AEB C2C(9p)、LSS(3p)、BSD(3p)、Alcohol interlock capability(1p)、Driver State Monitoring(1p)

Global NCAP Safer cars for India and Safer cars for Africa protocolsに関してはCOVID19のパンデミックで1年延期になり2022年protocolsがUpdateされ、既にGlobal NCAPで公開されている。
概要はAOPが最大34ポイント、COPは最大49ポイント。
5stars: 最低41ポイント、4stars: 最低35ポイント、3stars: 最低27ポイン、2stars: 最低18ポイント、1star: 最低9ポイントとなっているがLocal NCAPでの安全性評価5starsを獲得するには

  • 少なくとも2つのフロント エアバッグ
  • 少なくとも2つのサイド ボディ エアバッグ
  • 少なくとも2つのサイド ヘッド エアバッグ
  • ESC
  • 歩行者保護
  • 速度制限システム (利用可能な場合: ISA)
  • 利用可能な場合、自律緊急ブレーキ (AEB)
  • 利用可能な場合は BSD
  • 利用可能な場合 LSS

以上の条件を推し進めていくということであった。

CATARC/C-NCAPグループ

China NCAP's Roadmap 2023-2030 and FutureCATARC/C-NCAP / リュウ・レイ

現在のC-NCAPのProtocolは2021年版で、2022年1月から正式に実装されている。
2024年のUpdateに関してはActive Safety+ AEB VRUが加算される。ASBは最大1ポイントを獲得できる。Intelligent Lightingの評価も加わっていくようだ。

C-NCAP 2021 Protocol Active Safety AssessmenCATARC/C-NCAP / チャン・スイ

2022年にテストされた24台の車両のうち、22台の車にはActive Safety機能があり、2台の車にはなかった。機能構成としては、AEB機能が22両、ESC機能が22両、LKA・LDW機能が21両、BSD機能が15両、SAS機能が8両となっていた。

2024年のC-NCAPのActive Safety Assessmentは以下の内容である。
Active Safety
 Car-to-Pedestrian
 Car-to-Bicyclist (e-bike)
 Car-to-Car
Driving Assistance
 Lane Departure
 Car Surrounding
 Human Machine Interaction (HMI)
 False Reaction

2027年へのRoad Mapは益々道路状況が複雑化する中、マルチターゲットや夜間の場面も考慮に入れDMSも取り組んでいく。

パネルディスカッションAdvanced Car Technology and NCAP in the World 2030

パネリスト
デビッド・ハーキー
リュウ・レイ
チャン・スイ
モデレーター
アンドレ・ジーク

【4月14日(金) Towards the Automated-dayのプレゼンテーション】

The Near Future of Safe Cars including in particular the
“Devices that detect driver blind spots and hazards”.
An update from WP.29UNECE / フランソワーズ・ギシャール

WP.29の活動と優先事項などの解説から、予防安全システムに関する国連規則と警報システムに関する国連規則について解説された。
最近の展開にとして、ドライバーの意識についての国連R[166](ドライバーが近接するVRUを認識する)、国連R[167](ドライバーが直視する)がある。

User-oriented communication on automated drivingBASt/Euro NCAP / アンドレ・ジーク

Distinction between ADAS and Automated Driving(AD)に関して

ADASと自動運転(AD)の違いから始まり、Euro NCAP のAD運転モードの定義について話がされた。
自動運転に関しては以前からアンドレ・ジーク氏はAutomated、Autonomousは全く違うものだと言っていたが、今回はAssisted、Automated、Autonomousの違いを詳細に定義した。

Performance-based assessment of driver engagement at level 2に関して

レベル2でのドライバーの関与とEuro NCAPのRoadmap 2030の自動運転のグレーディングの概要がテストトラックテスト検証調査のビデオをもとに説明された。

Vehicle Technology Assessment: preventing crashes and keeping drivers engagedIIHS / デビッド・ハーキー

車対車の前面衝突防止, フロント衝突防止の今後の評価, 歩行者前面衝突防止, 部分的な運転自動化のセーフガード評価(SAE L2)について話された。
そしてIIHSのレーティングプログラムの以下の7カテゴリーの詳細な解説があった。
Driver monitoring
Attention reminders
Emergency escalation
Automated lane change
ACC auto-resume
Cooperative steering
Safety features

China New Car Assessment Programs Update 2023CATARC/C-ICAPグループ / リー・タオ、アイリス・チャオ

China Intelligent-connected Car Assessment Programme(C-ICAP)は昨年の12月に立ち上がった組織で、現在は主にADAS部門を運転支援と駐車支援の2つのプロジェクトに分け、星評価を実施している。
ナビゲーションパイロット支援は、高度な運転支援システムのポイントツーポイントのパフォーマンスを調査することを目的とし、基本的な運転支援は、主に制御能力、衝突回避能力、ドライバーとの対話能力の能力を考慮して、システムの安全性と快適性を評価することに重点を置いている。
基本的な駐車支援の評価は、駐車および駐車におけるドライバー支援の基本的な能力を調査することで、車両の追跡能力、駐車スペース前の駐車能力、駐車スペース前の遠隔駐車機能、ワンボタン駐車機能に焦点を当てている。
そして、C-ICAPの運転支援と駐車支援に関するRoadmap(2023-2027)の概要も発表された。

パネルディスカッションAutomated Technology and Human Life in the Future 2025

パネリスト
リー・タオ
アイリス・チャオ
デビッド・ハーキー
モデレーター
アンドレ・ジーク

第10回「2023 NCAP & Car Safety Forum in Tokyo」でのゲストからのプレゼンテーションやパネルディスカッションを通して、世界各地のNCAPのProtocolのUpdateの詳細や2030年に向けたRoadmapの具体的な方向性も十分語られたのだと思われる。
多くの興味関心を持って参加した聴視者とゲストとの質疑のやり取りも充実したものだった。この内容はまさにESVでは聞けない、議論できない内容であることは間違いがない。
そして、Level2〜3とADASについての話やAssisted、Automated、Autonomousの違いを国連サイドも含めて各方面からの話が聞けることは非常に価値のあるForumであった。2030年に向けてのRoadmapはこれから日を追い益々具体的になると思われる。目が離せない。
Sustainable Communications, Inc.は常に新しい情報をUpdateし必要とあれば海外からゲストを招聘し情報提供や議論の場を作ることを今後も行なっていく。

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