Sustainability Talk 008 小川和久(後編)

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New York City / USA

北朝鮮はどうでしょうか。

北朝鮮は、意識の端に上るような存在ではないのかもしれないと考えています。
今、アメリカの財団とアジアの安全保障に関する研究をしようと助成金の申請をしている案件がありますが、それは朝鮮半島の統一に向けて日本から見て統一朝鮮が火種にならないような仕組みを作らなくてはならないという提案です。
日本に対する不信感は、韓国の軍隊ではものすごく強い。
「第1次大戦後のドイツと同様に、日本は小規模だが質の高い軍隊をもって、一気に巨大な軍事力に膨らまそうとしているのでは」と将軍たちが本気で言います。
北はおそらく消滅するでしょう。
核も統一朝鮮が持つことになります。
もし日本への不信感があると、それは火種となります。
だからむしろ韓国のほうが、長期的に見れば大事なテーマだと言えます。
だから、私は自衛隊は韓国軍とのトラック2をやりたい。
中国の人民解放軍とのトラック2は今年10年目です。
相当な信頼関係にあります。
四川地震の時に陸上自衛隊のヘリを持って来てくれと言ったのは人民解放軍です。
しかし一般市民は反日教育を受けているので日本のヘリが飛ぶとまずいというのでやめましたが。
だから今度は韓国軍ともやりたいわけです。
中国軍とトラック2を始めるとき、こんなルールがありました。
ルール1、どんな激論をしても喧嘩をしない。
ルール2、デリケートなテーマほど、うまいものを食いながらやろう。

韓国の若い人たちは反日教育を受けていないのではないですか。

今の30代、40代は完全に反日教育世代ですね。そこをどう乗り越えるか。
38歳になる私の娘がアメリカにいたとき韓国人の大学院生と暮らしていました。
その彼が一緒に日本に来て私の事務所を訪れ、本棚を見て娘に朝鮮語で質問している。
「お前の親父は軍国主義者なのか」と。
軍事関係の本ばかりですからね。
そういう考え方をする世代です。
だが今の若い人たちは違うでしょう。
そういうことも視野に入れた取り組みをしたい。
北朝鮮より、韓国を視野に入れていきたい。
韓国のほうがテーマとしては大きい。
北朝鮮と韓国、彼らは瀬戸際外交をやります。しかも計算して。
しかし慰安婦問題などについては、日本は、強制連行の被害を受けた女性の数がすくなかろうと、国家と民族の誇りをかけて処理をしなくてはなりません。
受けた心身の傷に対して謝罪をし償いをしなくてはなりません。
そういったことが繰り返されないように世界の先頭に立って、中国も韓国もついて来いとできれば、日本に対する信頼は大きなものになるでしょう。