小川和久(後編)
Wshington DC / USA
表層ばかり見て、語らなくていいことに目を奪われているということですね。
細かいところに入ってしまう。全体を見ようとする癖が付いていない。
あるいは公表されたデータをどう見ればよいかということを、日本の学校教育では教えない。
自立できない構造の軍事力というのも、公表されたデータを見ればわかることです。
海上自衛隊の対潜水艦能力は世界第2位。
航空自衛隊の防空能力は世界第3位。
これを維持するには高性能な武器が必要です。
数もそろえなければならない。
これだけで相当な金を食うわけです。
一方、防衛費は4兆7000億円ほどですが、その45%が人件費。純粋に軍事力に使える予算は30%です。
現実を押さえずに議論をする傾向、それはものの見方を学んでいないからだと思います。
私は手探りでやってきたのですが、私の考え方をアメリカの手法に似ていると言われたことがあります。
早稲田の教授だった鴨さんが「やり方がウェスタンメソッドですね。小川さんはエールですか」と聞かれましたが、「とんでもない」。
それはどうでもいいことですが、こうした考え方、見方が日本人にはできないようです。
「もっと秘密の資料はないんですか」などと聞いてくる。
この問題を具体的にどうするか、それを描く訓練をし、国際水準を意識しないと、どこに行っても通用しません。
前例がないとできないのですね。
「好事例はないか」と聞かれますが、横並び感覚でしかないのですね。
良い事例があったら真似したい。
しかし危機管理では、敵の先に先に行かねばなりません。
好事例は陳腐化してやられると思わなくてはなりません。
日本人はある所まで行くと安住してしまいます。
だが世界はどんどん先に行っている。
世界と一緒に行こう、あるいは世界を引っ張っていこう、そのマインドさえあればとおもいます。
日本は能力はあるのだから。
軍事技術の一般社会への転用が新しい社会システムの革新につながると思いますが。
例えば、無人攻撃機のコックピット、あれは全部ネヴァダにあって操縦しているのです。
軍用の遠隔技術はすごいですよ。
それを交通システムにどんどん入れられるでしょう。
原理はわかっています。
自動車全部に入れようとするとできないけれど、公共交通ならできます。
尼崎の事故も、防げたはずです。
私の知る限りでも転用して有効利用すれば社会が一段とよくなるものはたくさんあると思います。
お教えしますよ。