Sustainability Research 22

ドライバーは両手でハンドルを持っていなければなりませんし、道路に目を向けていなくてはなりません。

李 安道(アンダース・リー) スウェーデン運輸省交通局 交通安全スペシャリスト

写真:李 安道(アンダース・リー)

スウェーデンは小国だけれど、国際社会においては大きな発言力を持っている国である。
自動車や交通においては、誰もが知っている安全の国だ。
安全先進大国として様々な指針を打ち出し、実験を重ね、実証によって世界に影響を与え続けている。
その安全大国の交通安全スペシャリストに世界の交通の現在と未来を訊いた。

昨年、グーグルが自動運転の実証実験が話題になりました。
自動運転の実用化に向けた動きはヨーロッパや日本においても活発ですが、これをどのようにとらえておられますか。

写真

Gothenburg / Sweden

アメリカではグーグルのアイデアが自動運転実用化をリードしています。
しかし、BMWは完全な自動運転の実用化には、アメリカよりもステップバイステップで開発していくべきでしょう。グーグルは、完全な自動運転からスタートしています。
彼らは、視覚障害者であっても、たとえお酒を飲んでいても「運転」を可能にするという野心を持っています。
しかし我々は、自動運転は簡単な決まりきった運転の場合に活用されるものと考えています。
長時間のドライブのときなどですね。
このようなステップは、大きな流れの中では既にとられています。

もし、ACC(車間距離制御装置)やレーンデパーチャーウォーニング(車線逸脱警告装置)などを搭載した最新のクルマに乗っているとします。
それらは、ある意味では自動運転ですが、ドライバーは自分でハンドル操作する必要があります。
それは、クルマは自動で全てを行なうのですが、それでもドライバーが運転に関わっており重要な役割を担っています。我々は、ここから自動運転を進めるべきだと信じています。
クルマは、それ自身が小さな一歩を踏み出していますが、長期的な視野に立てば、それは大きな一歩を踏み出したということになるのです。