ジョニー・スヴェドルンド(前編)
世界の福祉大国スウェーデン。
この優しい人が住む北の小国には、
世界のクルマの安全をリードして来たボルボとTrafikverketがあって、
安全のイニシアティブを世界中に発信し続けている。
北の国には、いま何があるのか。
まずは、スウェーデンの状況をお聞かせください。
Falun / Sweden
いろいろなことがあるので、どこから話を始めて良いのかわかりませんが、例えばISA(Intelligent Speed Assistance / 速度管理支援システム)やアルコールロック、それらの技術に対する我々官庁としての要求は同じ要求が持続しています。それらは各々一つの分野として進化しています。
それらを官庁で使用するクルマに採用するのはもちろんですが、同時に官庁の外部である企業ですとか、交通機関関係の企業、組織がクルマを購入する際にもISAやアルコールロックを組み入れなさいと指導しています。
ISAやアルコールロックだけではなく、環境に対するいろいろな規制を購入する際の最低要求条件にしています。
例を挙げると、地方自治体がスクールバスを購入する際に、飲酒運転を予防するアルコールロックのあるクルマを購入するように、あるいは清掃車なども同様です。
私たちが要求するということではなく、子どもたちに危険がないように、こういうものを付けるべきではないのですかというような説得をするという形で広めています。
タクシー会社などでは、彼ら自身がそういうものを設定しています。
官庁などの関与なしに、より多くの企業や購入する側の組織・団体がそうした要求を自分たちで規定をつくるようになっています。例えば、ある団体が交通機関や手段を購入する際に条件としてISAが必ずどのクルマにもついていることという一箇条を加えます。
そうした際に入札する側の業者が「ISAって何ですか?」と役所に問い合わせてきます。
そこで「これはISAでこれはISAではない」と答えることは私たちにとっては非常に難しい。
どの製品が「これは合格している、これは合格していないと」決めるのが私たちの役割ではなく、「ISAが職場でなぜ必要なのか」、環境問題などと同じように「速度に対しても考慮しなくてはならない」という観念を、ディスカッションなどで意識として高めることが、私たちの大きな目的の一つです。
速度を制御するとかコントロールするといった目的にかなうというのはどういったことか、それを購入者自身で規定するということを導くのが、私たちのポジションなのです。