Sustainability Research 008 クラウス・コンパス(前編)

人間が要求しているもの、必要としているものは世界中どこも同じはずなのに、どうしてその国ごとに条件が違うのでしょうか。

クラウス・コンパス BMWグループ トータル車両構造・インテグレーション ディレクター 車両安全

写真:クラウス・コンパス

BMWは、かっこいい。
ダイムラーが保守王道だとしたら、BMWは革新だ。 テーゼに対するアンチテーゼ。メインカルチャーに対するカウンターカルチャー。
皇帝にひとり反旗を翻す急先鋒という構えは、心がおどる。
BMWの魅力は、人間の感情に訴えてくる所が残っている機械だからだろう。
しかもとびきり優秀である。
では、安全はどうだ?

経済危機後、買い控えしている世界の消費者がクルマを買い替える時期が遠からず来ます。その時彼らはどのようなクルマを求めるのでしょうか?どう予測されていますか。

コンパス: 現在において、例えば環境の問題は大きな問題です。それについては様々な観点からいろいろな問題が出てきています。そして、それら環境問題に対する様々なテクノロジーもあります。
しかし、私が予想する、次の一番大きなテーマとなるのは安全だと思います。ただし、様々な観点から見なくてはなりません。様々な市場があり、様々な国々があるからです。

まず先進国のお話からしましょう。
先進国、日本、アメリカ、欧州の場合、衝突安全パッシブセーフティは先行し、今や常識となっていますよね。過去何十年間もの間に、今までに起こった様々な事故を分析し、それに対する対応をしてきています。
ですからここでは、これからの大きなテーマとなるのはアクティブな安全性で、どのように事故を防ぐのかということが大きなテーマとなります。実際に我々専門家は、アクティブな安全性にもっと事故を防ぐポテンシャルがあるというように考えています。
ところが、現在非常にパッシブな方の安全性から要求が出てきていて、それに対して対応しなければならない状況にあります。これは問題です。
アクティブな安全性というのは、法律や消費者団体などの要求から来るものではなく、メーカー自体が非常に積極的に行なっているものです。しかも競争によってその技術が非常に進んでいます。
例えば、現在歩行者に対する安全が言われています。我々は、それを自動車から見て安全というものを考えます。