London / UK
CCSの実験は既に中国でやっているのですよね。CCSそのものは評価して良いものなのですか。
中国では3カ所でCCSの実験をしています。
世界的には、現にやっているところもあります。
技術的には分離も貯蔵もある程度できています。
問題は、二酸化炭素が漏れてきたときに誰が責任を取るのかとか、どうやって計測するのか。
二酸化炭素を分離して貯蔵するというのは全くコストが上がるだけのことなのです。
エネルギーを本来の目的とは別途のものに使うので、例えば発電所では発電効率は下がるわ、貯蔵コストは乗っかるわで、丸損のプロジェクトです。
政府が助成するための補助金を出すか、カーボン、CO2排出権に値段を付けてペイするようなことにするか、または石炭発電をやるときにはCCSを義務づけるか、何らかの措置をしなければこれはメカニズムの中に入りません。
どのくらいコストがかかるか、どういう制度をつければワークするのか、実験、デモンストレーションを今後10年間かけてやっていかなくてはと考えているところで、今IEAは「現在世界にどれくらい、どういうプロジェクトがあるのか、それを20カ所くらいピックアップしましょう」という課題に取り組んでいるところです。
そして、どのようにするのか絵を描いて、具体的にやってみて、どういう制度をつくればいいのか、テクノロジー上問題があるのはこういうところだと、そういう精査をして、2020年以降、コマーシャルに乗せていこうとしています。
CCSについては、そういうタイムスケジュールです。
話は変わりますが、去年6月のインタビュー記事では、ヒートポンプについての発言で「世界提供できる日本の技術はたくさんある」とおっしゃっています。
様々な省エネ機器もありますし、省エネ技術もLEDのような効率的な照明もあるし、ヒートポンプもある。石炭発電についても日本の効率はものすごくいい。原子力も非常に安全です。そう考えると、地球温暖化に向けた日本の有する技術は相当たくさんあるし、それを使って競争するメカニズムさえきちっとできればビジネスチャンスはたくさんあると思いますね。
世界は日本の技術を知っていますか。そしてそれを待っていますか。
もちろん知っています。
しかし、お互いに競争ですからね。
例えば、日本の太陽電池も非常に優れていますが、日本の中で使われないと、海外へ輸出して、パネルをどう組んで、システムをつくってと、外国の電力会社とやっていくのは大変なんです。
もしパネルをつくって売るだけなら、安い中国のパネルには勝てません。
しかし、いいものをシステムやいろいろなものとのパッケージとして売っていくのがいいやり方でしょう。
そういう体勢が日本国内に無いと、なかなか海外でそういった実験的な商売はできないですよね。
ですから、今回そのターゲットをつくったり、様々な助成をしたりするのは、そういう地球温暖化に向けた産業の目を大きく伸ばしていくために必要だろうと思います。