Sustainability Talk 005

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Bad Homburg / Germany

省エネの比率も大きいですね。技術革新だけでなく個人にかかってくるものも大きいのですか。

技術革新とともに省エネマインドというか、ライフスタイルを変えることも大きいです。
住宅など省エネ型建築基準とか、「建てるときにこれを省エネにしておくと将来こうなる」とそういう表示をしないと買う方はわからない。
30年で見たときのコストを表示すれば皆、省エネ型を買うに決まっているんですよね。
そういう表示の義務づけがないと省エネライフスタイルの普及も進まないので、消費者が選択しないとなりませんが、選択すると何が違うかを見せてあげないといけない。
そのことについての政府の役割も重要です。
ただ、このシナリオの数値にはまだ、ライフスタイルの変更は入れていません。
例えば「自動車は要りません、歩きます」とか、「バスに乗る人が増えます」とか、「都市から分散して住みます」とか、ライフスタイルが変わるともっと省エネは進みます。
しかし、モデルが難しく国によっても違うから、それはここに入っていません。

石油会社や産油国は、これからどのようになっていくのでしょうか。

サウジアラビアを見ていると面白いですよ。
太陽光発電を使おうという動きがあります。
今は出てくるガスも使っていますが、ガスも石油も限りがあるのを知っていますから、オイルマネーがあるうちに太陽光発電に投資して、今石油で稼いでいるエネルギー分をいずれは太陽光でやろうとしています。
あそこは砂漠の国ですから、曇りや雨で陽が陰るという心配もないし、そこら中に太陽電池や集光式の発電機をおけるところがありますからね。
ナイミ石油大臣は「我々は太陽の国になる」と言っておられます。
石油会社もまさに同じで、シェルのように石油からガスに転換している会社もありますし、バイオ燃料などへ転換している企業もありますからそれぞれで、一律でなく、今儲けているものをどこに投資していくかによって将来が決まりますね。
いずれなくなる資源に対して投資するのではなく、違うものに投資しなくてはいけないのは誰が考えても明らかなことですが、これはなかなか厳しいベット競争ですね。

サウジアラビアはムスリムの国で、砂漠の国だから、夜しか活動できなかった。
だから、古来から太陽は敵、夜は味方なんです。
国旗に月がありますよね。
月に国から太陽の国への大転換ですね。

それは面白い。
かの国で、月から太陽にするというのは大変なことですね。

(9月8日OECD東京センター内会議室にて)