Sustainability Talk 005

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California / USA

非OECD諸国に「発展するな」と言えるでしょうか。

排出を伸ばさないんです。
450政策シナリオのグラフを見るとわかりますが、OECDの二酸化炭素排出量は黙っていても伸びないんですが、非OECD諸国は少しの期間は増えてもいいがその後は減らしてくれ、「2020年くらいをピークに、そこまでは伸ばしてもいいが、それ以降は減るようなメカニズムにしないといけませんよ」ということです。
当たり前ですが、非OECD諸国の人たちは二酸化炭素削減についてのマインドがないので、資金フロー、テクノロジーフローができるようなメカニズムを作ってあげるとか、例えばCCSは先進国が使ってみせて実証した上で新興国に使えるようにしてあげるとか、省エネを徹底的に教えてあげるとか、何らかの援助がないといけないでしょう。
先ほど「OECDで3分の1、非OECDで3分の2を落とさないといけない」と言いましたが、誰が負担するかと言うと、むしろ逆でOECDが3分の2の負担、非OECDが3分の1くらいの負担にならないとこれは回りません。
日本の削減は、鳩山首相が25%の数字をあげて大騒ぎになりましたが、日本の削減量は世界全体の削減量150億トンから見て多くて3億トンですから、日本の中でぎゅっとしぼり込んでも世界的にはおよそ関係がないということになります。
つまり、国内で減らすだけではなく、外国で減らすということを考えないと日本は貢献できないんですね。
だから、「日本の貢献としては、外で貢献することを考えたほうがはるかにいいのではないですか」と言っているんです。
もちろん、国内でいろいろな技術開発をしなくてはならないので、ターゲットは必要ですが。

水力を増やさなくてはならないという話しがあリましたが、エジプトという国はアスワンハイダム、アスワンダムの2基でほとんどまかなえています。隣りの国に売っているくらいです。

アフリカは十分、ポテンシャルのある地域です。水力は途上国ではまだまだ増やすことができます。

例えば、発電するところをたくさんつくって、世界中の電力のネットワークをつくるということも、できるんですか。

世界ネットワークというより、リージョナルなものになりますね。
アフリカ全体をネットワークにするということはナンセンスなので、キャパシティのあるところと経済活動がこれから起こっていくところで国境を越えたネットワークをつくる。
例えば、ジンバブエと発電した電力を南アフリカに持っていき、アルミニウムを作るために使うとか、これはあり得ます。
国境を越えた協力は、エネルギー・リソースと経済活動がうまく近接していればネットワークでつなげられる。
そういう協力のためには、今のアフリカの中の民族間の殺し合いとかテロとかがなくならないと、経済活動が投資というカタチでそこに出ていかないですね。
投資が出ていかないと、需要なんかないのだからそこにダムを造ってもしょうがないという話になるので、現在とりあえずの経済発展は中国にフォーカスしていますが、その次はインド、その次がアフリカとそういう感じです。
何十億人が電力なしでやっているという話もありますが、経済活動を積極的にするためにそれぞれのリージョンで自由貿易地区みたいなものをつくってそこに投資を呼び込んでいく、そうするとと経済的にも安定してくると思うんですが。
将来の課題として実現していけばいいことで、こういったアイデアはいくらでも出てくるでしょう。
我々は個別プロジェクトに関与しているわけではないのですが、全体の絵を描いてみると、そういうことが見えてくるなあと感じています。
ただ、アフリカはまだまだ時間がかかってたいへんです。